人に歴史あり、バイクに歴史あり
ビワイチの後半戦です。
前半戦の記事はこちら。
後半戦は琵琶湖の東岸から西岸へと舞台を移します。静かな湖畔の木々の中を走っていきます。拝所のような場所があり精霊が宿るような感じがします。
さて、そんな閑静な奥琵琶湖の西湖岸を走っていたとき。第2のトラブルが発生しました。
突然、バチーンと大きな音。ずいぶんと派手なパンクです。普段の行いが悪いのでしょう。
パンクをした場所は工事用の信号機前だったので、たまたま停まっていた、ご夫妻が声をかけてくれました。スペアチューブは持っていたものの恥ずかしいことにタイヤレバーと空気入れを忘れており、お二人の親切に甘えてお借りしました。
ところが、チューブ交換を行なったものの再びピンチに陥ります。タイヤが劣化していてサイドに亀裂が入っているのを発見。これが、パンクの原因でした。ちょっと空気圧をかけただけでチューブが亀裂からはみ出て風船ガムのように膨らんで張ちきれそうになります。空気を入れただけで再びパンクすることは明らかでした。
そんなとき、ご夫妻が透明の修理用パッチを探し出してくれ、それをタイヤの内側から貼って応急処置を施しました。それでもチューブは隙間から膨らみましたが、少なくとも剥き出しの状態よりは、だいぶマシになりました。
奥琵琶湖の湖畔で巡りあった恩人です。サイクリストの優しさに感激して、自分のだらし無さにほとほと呆れました。
空気圧は膨らみ過ぎないギリギリにしました。ここから先は運試しです。最寄りの自転車屋まで静かに走っていきます。とは言っても、まだまだ20kmも先です。
途中、マキノの町に入りました。ちょうどお祭りの最中のようです。街道筋の建物に提灯がぶら下がっています。
突如、黄金郷が現れます。お寺かと思いきや海津迎賓館という資料館だそうです。そして、ここにも飛び出し坊やがいました。こちらはアレンジバージョンのようです。
パンク一歩手前のタイヤは何とか持っています。なるべく体重をかけないよう中腰姿勢で、冷や冷やしながら走って、ようやく近江今津の市街地に入りました。
ここで、素晴らしい自転車屋に巡りあいました。
早田自転車店。
何とも趣きのある老舗の店構えです。
そして、店主は後期高齢者の早田さん。好々爺といった感じのおじいちゃんです。
一見、ママチャリ専門の町の自転車屋さんといった雰囲気ですが、そのイメージはすぐに覆されます。
意外と言ったら失礼ですが、何故かロード関係の部品が何でもそろっています。
聞けば、何と滋賀県内でも有数の歴史を誇る自転車屋であり80年前の創業だということです。
そして、昭和35年からロードバイクを扱っているんだそうです!初期のロードバイクが、今に比べていかに性能が悪く大変な代物だったか、いろいろなお話を聞かせてくれました。
そして、人の良いおじいちゃんといった店主は修理を始めると一つ一つの作業が的確であり、力も健在で、自転車整備のレジェンドといった感じでした。まるでカンフー映画で若い主人公が舐めてかかったら、仙人に片手でやり込められ平伏するといった感じの驚きです。
跡継ぎはいないそうですが、ビワイチブームのなか引退するにできないとのことでした。これからも、なるべく多くのサイクリストを支えて欲しいものと思います。
ちなみに、修理料金があまりに安くて工賃を取っていないのではないでしょうか。どこまでも粋な自転車屋さんです。
自転車も直って、最後はかっ飛ばして帰ろうと思ったら今度は身体がガス欠。ハンガーノックと筋肉疲労で言うことを聞きません。
そんなとき、4人組の男性陣に巡り合い、集団に乗せてもらうことにしました。快く便乗させてくれ、20kmくらいは牽いてもらったように思います。ありがとうございました。
ホンマにおかげさまの連続でビワイチが終了しました。朦朧としてフラフラになりながら、フィニッシュ地点の「道の駅びわ湖大橋」で食べたゴールドキウイソフトは美味すぎて昇天しそうでした。