晴れ時々走れ

マラソン、トライアスロン、人生について

小さな物語を紡ぐ

2016年大晦日は紅白もゆく年くる年も見ずに子どもと一緒に寝落ちして幕を閉じました。そのかわり2017年の元旦は目覚ましアラームの鳴り出す前に目が覚めました。夜明け前、外に出ると霜がびっしりと降りています。キンと冷え込むなか薄手のジャンパーとスパッツ姿で出かけます。本庄市の市民元旦マラソン大会に今年も出場しました。河川敷をウォーミングアップしていると紅い光が見えてきます。初日です。思わず立ち止まり見つめます。周りには他にも同じように見つめる人々。ジャージ姿の女子中学生がわあっと声を上げます。景色がうっすらと紅い光に染まっていきます。陽光を浴びた途端に身体が暖まり、太陽の偉大なエネルギーを感じます。

 

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さて、第57回市民元旦マラソンは1000人くらいが参加。無料で当日受け付け可能で参加賞もあり、なかなかホスピタリティにあふれる素晴らしい大会です。元旦の大会自体が少ないので遠方からも含めて年々参加者が増えているように感じます。ちなみに、私は3年連続の出場です。

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午前7時45分に3kmのレースがスタート。最前列から駆け出しますが、小学生のちびっ子たちのスタートダッシュが凄い。あっという間に置いていかれます。地元の運動部であろう中学生や高校生も気合の入った積極果敢な走りを見せてくれます。普段のマラソン大会とは違う微笑ましい光景です。おじさんも心臓を弾ませて、酸欠で手足をもがかせながらついていき、少しずつ疲れたランナーたちを拾っていきます。結果は去年より10秒くらい遅く全体の10番手くらい。喉の奥が塩辛くなりながら、今年も健康に走れることに感謝しました。

 

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そして、記念写真を撮ろうとしていたときに、不意に話しかけられました。その方は沖縄で知りあった先輩で10年ぶりくらいの再会でした。転勤族だったその方は現在、南埼玉に住んでいて、ネットで大会情報を知り、車で参加したとのことでした。意外な場所で意外な人の登場は嬉しいものです。底冷えのする朝に、真夏の沖縄の海で一緒に出場した遠泳大会の記憶が蘇りました。記憶が土地や時代の匂いを運んでくれます。

翌朝、故郷の中学校の通学路を久しぶりにジョギングしました。片道2kmくらい。当時は田んぼばっかりだったが、真新しい戸建て住宅や老人介護施設がたくさんできていて風景は様変わりしていました。そのせいかね昔の友達の家もやや記憶が曖昧になっていました。こうしたなか数ヶ月前にFacebook でつながった中学時代の同級生の家は覚えていました。正月だから帰省しているかもと思いながら家の側を通ると車を拭くおじさんの姿。思わずそのまま走り過ぎてしまいました。中学以来、もう20年以上も顔を会わせていない。彼に兄弟はいたっけ?おそらく彼だと思われるが、話しかけて違ったら厄介だし。それにいきなりアポなしで訪問するのは迷惑だろうし。久しぶり過ぎて何て声をかけるのか適切な言葉が見当たらないし。

と少し離れた場所でウダウダ考えながら、半ば帰途についていましたが、今ここで話さなかったら一生会わないかもしれない。告白する中学生のような思いで方向転換。ジョギングの途中という非日常性も後押ししてくれました。いたって自然な気持ちで彼の家に向かうとまだ車の側にいました。塀越しに「おはよう、〇〇です」と声をかけるとちょっとの間があって「おお」。

見た目はお互いオッサンになっていましたが、意外と声は変わらず当時のままです。中学の部活を引退してから、もう一人の友人を含めて三人でよく一緒に帰っていました。その帰り道、バカで下らない立ち話を延々とした彼の家の前で近況報告や子育てなど他愛ない話を20分ほどしました。成長期で小さくなった制服をもう終わりだからと着続けていたあの頃。部活も終わって暇を持て余したふわふわした感じ。そして、春になったらそれぞれの道を歩む。冬の暖かな陽だまりの感じを思い出しました。

話せて良かった。

出会いを大切にして、こういう小さな物語を大切に紡いでいきたいと思いました。物語を始めるためには非日常性が大事です。そういう意味では、行動距離が広がり、多くの人に出会うランニングは非日常のきっかけになるものです。

そして、走ることは日常の気持ちに冒険心を加えて小さな勇気を与えてくれます。迷ったら一歩を踏み出してみます。

 

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