晴れ時々走れ

マラソン、トライアスロン、人生について

グルービー河内音頭

昼はほぼ猛暑日、そして、夜は一ヶ月連続で熱帯夜が続いている大阪。夜の帳が降りても、重怠く澱んだドブ川のような空気が肌にまとわりつきます。その生暖かい空気をひたすらにかき回しながら、汗をいっぱいにかいて湿気と熱気を上昇させる伝統行事、盆踊り。今年もこの季節がやってきました。

 

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大阪市中央区にある中大江公園は都心にある、ビルに囲まれた小さな公園ですが、毎年、盆踊りで盛り上がります。広場の中央に建てられた立派な櫓には紅白のすだれがかけられ生演奏が行われていて、自治会の気合いが感じられます。

 

大阪の盆踊りと言えば河内音頭です。エレキギターが奏でる旋律とリズミカルな太鼓にのせて、唄者が朗々と途切れなく言葉を紡いで語るように歌います。3年前に初めて参加したとき、この河内音頭にいたく感動しました。

盆踊りには詳しいわけではないのですが、エレキギターを取り入れた盆踊りは全国的にも珍しいのではないでしょうか?エレキギターが奏でる河内音頭は、いわゆる盆踊りの定番曲のような湿っぽさがなく、どこか明るく軽やかな節回しで心がほぐれます。

 

河内音頭と言えば河内屋菊水丸さんが有名です。そして、菊水丸さんと言えば子供のころ聴いたアルバイト情報誌フロムエーのCMで流れたカーキン音頭を思い出します。「カーカキンキンカーキンキン、バイト探しはシュシュ、シュー2回」という不思議な調子は今も耳にこびりついています。火星人と金星人と思しきアニメも強烈に印象に残っています。当時のCMの破壊力は今より遙かにあります。当時のメディアが限られていて、自分の思い出バイアスもあるとは思いますが、やはり斬新さと勢いがあったように感じます。思えばこれが河内音頭らしきものとの初めての出会いでした。そして、20年以上のときを経て、再び河内音頭にはまっている自分がいます。


「フロム・エー」(1991年上期CM)

 

さて、中大江公園の盆踊りでは初音家さん一行の方々が生演奏を行ないます。定番の歴史物などの歌詞に加えて唄者の方が即興でアレンジを加えていきます。「藤原紀香が来ているぞ、○○が来ているぞ、俺は○○に似ているぞ」などと茶目っ気のある語りに和みます。さらに突然、曲は洋楽のオールディーズ風に変調。「I lovin' you」など英語の歌詞を織り交ぜて何でもござれといった自由な雰囲気が河内音頭の魅力でもあります。

 

河内音頭はステップも独特です。手踊りとマメカチと2種類あるようですが、手踊りは進行方向に沿った足の動きで比較的簡単に理解できます。一方でマメカチは進行方向と直角方向、さらに回転運動があり、右脚と左脚が変則的に入り乱れてなかなかに難しい。マイムマイムのサーカシアンステップのような足の運びもあります。

ところで、マメカチは時計回り、手踊りは反時計回りですが、曲が始まると自然とどちらかが選択されます。曲によって決まっているのか、誰かがリードして決まるのか分かりませんが、いつも不思議に思います。

 

さて、初心者の私は上手な人を見つけては後ろについて見様見真似で踊ります。ただ、あまり上手過ぎる人の場合、アレンジが加わり過ぎて参考になりません。

こうした熟練者がけっこう大勢います。流れるように柔らかく弧を描きながら踊る姿は見事です。どうやら各地の盆踊りを夜な夜な渡り歩く流しの盆ダンサーのようです。この時期、大阪ではものすごい数の盆踊りが開かれます。あまりの数に盆踊りと河内音頭に対する底知れぬ愛を感じます。

ちなみに盆踊りについて調べるときは、いつも下記のサイトにお世話になっています。

 

盆踊ら~の盆踊り日程 in OSAKAbonodoler-nittei.blogspot.jp

 

会場には自分みたいな初心者も大勢いて、みなさん果敢に輪に加わっています。大阪はこうした体験型イベントのハードルがとても低いと感じています。見てるよりも踊りたい。「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」と阿波踊りでは歌われますが、河内音頭でも若い女性グループやサラリーマンがどんどん輪に入っていき、最初はぎこちなくてもすぐに勘をつかんでいきます。いろいろな国籍の外国人も多くいました。浴衣、スカート、Tシャツ短パン、スーツなどの様々な姿が入り混じって、年配の方々やおっさん、おばさん、若者、子供たちが一緒に踊る。コミュニティが縦に横に分断されつつある現代において、地域のみんなが右回りにぐるぐる、左回りにぐるぐる、一つの大きな流れを作りあげます。

 

ちなみに、この日は仕事がうまくいかず、ほとほと自分に愛想をつかしました。また、今年は自分の身の回りで不幸が多くありました。でも、悲しいことも辛いことも悔しいことも、ぐるぐると回っているうちに溶けて行く。人生はぐるぐると回って、出会って別れて、また出会っていく。

 

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