GREAT RUN to 銭湯
年始の休みには実家に里帰りします。そこで、家族でテレビを囲んでのんびりと過ごすのですが、正月の番組はガチャガチャしていて本当に面白くありません。時間を無駄にして、お正月の特別な気分に水を差すものばかりです。こうしたなか、たまたまチャンネルをザッピングしているとNHKBSのGREAT RACEに巡り合いました。これがとても素晴らしい番組でした。アルプス山岳レースや砂漠レースなど海外の過酷なレースをドキュメントした番組です。
美しい映像を見ながら、「しんどそうやねえ」「きれいな景色やねえ」「何キロ走んのん？」など話をしながら家族の団らんになります。イージーリスニング的な番組なので変わりゆく美しい風景を観ているだけで気分が良いです。そして、ストーリーを追わなくてもなんとなく楽しめるので、子どもの相手など他の作業をしたり、まったく別の会話をしたりしてもフラストレーションがたまりません。お正月のゆったりした気分を害さないとても良い番組でした。逆に手持無沙汰に過ごす年末年始くらいしかこうした番組は観ません。アルプスの絶景が2017年の新春の気分をさわやかに彩ってくれました。
グレートレースのような大会に一度、出てみたいものです。山や砂漠を250kmも走るので過酷ですが、決して無理なものではありません。その証拠に参加者のほとんどはいわゆる市民ランナーのような人々で超絶アスリートではありません。しかも40歳前後から上の世代が多く年齢層は高めです。トップレベルの選手でさえ、オリンピックのような神から与えられた才能でしのぎを削るような世界とは違います。出場選手は頑張って鍛えた普通の才能の人たちでとても親近感があります。彼ら彼女らは、長い距離を走りぬく体力と自然のなかで身体を苛めることを喜ぶメンタリティに秀でているだけです。オリンピック選手のような才能や、登山家のような技術や装備はありません。自然を愛する努力家の人たちが人生の何かをきっかけに一歩を踏み出す大会なのです。
番組を観て無性に遠くへ走りたくなったので、学生時代の友人との新年会参加をきっかけに、大阪から京都まで走ることにしました。片道48kmのGREAT RUNです。天気が良く、気温も割と上がったので絶好のランニング日和で、淀川では多くのランナーやサイクリストたちとすれ違います。びっくりしたのは中間点の八幡市のあたりでチームメイトのランナーにばったり出くわしたこと。犬も歩けば棒に当たると言いますが、ランナーも走った分だけいろいろな出会いがあります。
一人でのロング走は退屈だと思うかもしれませんが、ゆっくり景色を楽しんだり、スマホでラジオを聴いたりしていれば、そんなに退屈はしません。とは言いつつ、この季節の景色は華やかさがなくやはり殺風景です。桜の咲くころに走ったら絶景でしょうけれどね。ということで、途中の写真はカット。
フィニッシュ地点は京都五条の梅湯。一度、訪れてみたいと思っていました。今回のGREAT RUNの目的の一つです。こうしたロング走のときはいくつか魅力的な目的を重ねるとモチベーションが高まります。「LSDの練習にする」「新年会で美味いビールを飲む」「気になる銭湯に行く」などなど。こうして目的を積み重ねていくと自宅のぬくぬくとした強烈な引力を跳ね除けて一歩を踏み出すことができます。
ところで、この梅湯は外装も内装もきれで趣きがあり、とても良いお湯でした。シャンプーとリンスが備えつけなのは感激しました（銭湯は大概、持参しなくてはいけません）。ロングランの後のお風呂ほど気持ちの良いものはありません。特に冬場は手足がかじかみ、身体の芯から冷えています。汗を流すだけでなく、強張った身体を溶かしていく作業はこのうえない快感です。
なお、梅湯は20代の若き経営者が奮闘していることで有名です。詳しくは下記サイトもご覧ください。
近くには任天堂の旧本社を発見して感激しましたが、あまりに疲れていたのでポケモンGOを起動するのを忘れていました。
ということで、GREAT RUN to Sento でした。 お風呂でお湯を浴びて生き返った感覚、そして、新年会のビールが格別に美味しかったこと。一生、忘れないでしょう。
