晴れ時々走れ

マラソン、トライアスロン、人生について

釜石へ④震災とトライアスロン

釜石はまゆり国際トライアスロン三陸の風土と触れ合える素晴らしいコース設定です。そして、レースに臨む者は必ず、震災について考えさせられます。

 

f:id:harehashire:20171020060659j:image

 

根浜の砂浜に立つ。目の前に広がる海。この日は台風の影響でまだ波が高く、うねりを伴っている。三陸の潮は冷たく、9月上旬にも関わらず水温は17度くらい。普段はウエットスーツ嫌いな自分だが、初めてその有り難みが分かる冷たい水。

 

3.11の日の水温はもっと低かっただろう。外は雪がちらつく。津波で命が助かったとしても、濡れて孤立して一夜を過ごした方々はどんなに寒かったか。

 

少しだけ黙祷をしてからスイムのスタート。

750mの三角形を時計回りで2周回する。台風のうねりで目標のブイが見えない。波に翻弄されるのを感じる。津波のエネルギーはこんな波動とは比べものにならないはずだろう。

人数が少ない大会なのですぐに集団はばらけ、一人きりで泳ぐ時間が長い。ブイとブイの間にロープが設置されておらずコースロストしないように気をつける。潮の流れがきつく、流されていくのが分かる。

 

限界までは頑張らない。いつもの大会と違う心持ち。今、生きていることを噛みしめる。泳ぎながら亡くなった方の冥福を祈る。静かな、静かな波間の時間。

 

バイクに乗ると被災地を走る。3階に車が突き刺さっていた小学校は解体されて、新しい校舎が高台に建っている。元の場所は2019年のラグビーW杯の会場になる。

 

f:id:harehashire:20171020061156j:image

 

コース沿いはまだまだ更地が多く、というか、ほとんど更地のままで、所々に復興住宅が並ぶ。風に揺らぐピンクのリボンは何の目印だろう。

 

f:id:harehashire:20171020060754j:image

 

バイクのコースはオリンピックディスタンスでは珍しい1周回のみの往復コース。川沿いに傾斜を緩やかに登っていく。夏の名残りでセミが鳴いていて、所々で沿道の人たちが応援してくれる。避難所となっていた栗林小学校、上栗林公民館を過ぎて、見事な桜が咲く春の長閑な景色を思い出す。当時、沿岸部とのあまりのギャップに頭が混乱した。現在も、仮設住宅や仮設商店街があり、6年という時間の重みを考えさせられる。

 

f:id:harehashire:20171020061428j:image

 

バイクコースのロケーションは素晴らしい。日本の古き良き里山の景色が広がる。けっこう勾配を登り、汗をたっぷりかいたところでUターン。帰りは汗を吹き飛ばしながら、高速で下り、再び被災した沿岸部に戻っていく。そして、橋を渡り、津波到達地が見えて来る。今でもその境がはっきりしている。

 

ランは根浜の海水浴場の近くを4周回する。新しく整備されたアスファルトを踏みしめ、海風を受けながら三陸リアス式海岸の入江沿いを走る。

 

f:id:harehashire:20171020061653j:image

 

照りつける陽射しの割に少し秋の気配を含んだ冷たい空気が、三陸ならではの感じ。たくさんのボランティアの方々が応援、そして、給水をしてくれる。素朴で、それでいて、熱い応援が後押ししてくれ、最後の力を振り絞ってフィニッシュゲートをくぐる。

 

f:id:harehashire:20171020061527j:image

 

無事に、元気に、帰って来られて良かった。この大会は、この土地の記憶を感じながらのレースになる。きっとそれぞれの選手が6年前の時間を思い出す。だからこそ、多くの選手に訪れて欲しい。

 

震災前の以前の大会はすごい盛り上がりだったそうだ。今年は完全復活の一回目なので少なめの参加者だった。

 

そして、ぜひ、トライアスロンの大会日程に震災学習を取り入れたら良いのではと思う。被害を受けて復活した宝来館さんなど、多くの記憶と記録が残っている。

 

謙虚に知りたい、学びたいと思っている選手は多いと思う。そして、そういう貴重な機会があれば、遠方からの参加も増えるだろうし、選手たちは家族も連れて来ると思う。子供がいれば、何かを感じとって欲しいと願うかもしれない。

 

レースとセットになった震災学習会があれば、滞在時間も伸ばして二泊三日の行程を選択する人も出て来るのではないかと思う。

 

そして、何より、選手にとってはレース中の思いが変わる。どう変わるかは人それぞれだと思うけれど、何か込み上げてくるものがある。

 

来年はぜひ家族で参加したいな。

 

f:id:harehashire:20171020062948j:image