バンコクのランニング旅② ルンピニ公園の青空エアロビ
昨年末に訪れたバンコクのランニング旅の2回目。前回の記事はこちら。
バンコク滞在中に毎朝、向かった場所があります。それはルンピニ公園。バンコクのランナーが集まる有名スポットです。
ルンピニ公園の交差点で朝日に遭遇します。写真だとうまく表現できませんが、これまでの人生で出会った太陽のなかで圧倒的な大きさでした。思わずその神々しさに足が止まり、ほんのり汗をかいた肌にゾワゾワッ鳥肌が立ちました。普段、太陽のことなんて意識せずに生きていますが、その燃え盛るエネルギーに感謝の気持ちが湧いてきます。
さて、ルンピニ公園はバンコク中心部にある緑豊かな公園です。大きな池の周りを2.5kmの周回コースが巡っています。バンコクの街中は排ガスや下水の匂いが気になりますが、公園の空気はとても清浄で深呼吸したくなるくらい快適です。
12月のタイは乾期で過ごしやすい季節ですが、日中は走れるような気温・湿度ではなく走っている人は皆無です。ただ、朝日が昇る前は気持ち良く汗をかけるくらいの気候なので、ルンピニ公園には夜明け前から大勢の人たちが集まっていました。
まるで市民スポーツのアミューズメントパークや展示会のようでした。ランナーは言うに及ばず、太極拳、舞踊、ヨガ、筋トレなど、あちこちでトレーニングが繰り広げられています。
なかでも人気なのが青空エアロビクス。大音量で曲をガンガンに流してインストラクターの女性が踊り、周りには100人くらいの参加者がいました。タイ語は分かりませんが「マンボ」「チャチャチャ」「ツーステップ」などところどころステップの名前が出てくるので、見よう見まねでやってみます。
朝6時ごろから始まり、7時くらいに終わります。参加者の方々が寄付箱にお金を入れているので、周りの人の様子を見ながら20バーツ紙幣を入れようとしていると、地元のタイ人の方に話しかけられます。こういうスポーツコミュニティの場所では良い意味でいつも絡まれます。国内外問わず、いつもコミュニケーションをとってくれるのは、おせっかいが大好きなオバちゃんとオジちゃんたちのグループです。
気がつくと地元のエアロビ仲良しグループの人たちに囲まれていました。このなかで、一番若くてムードメーカーと思われる中華系ビジネスマン風のおじさんが仲間を紹介してくれます。
「こっちのおじいちゃんは昨日、カラオケで5時間も歌うくらい元気だ」「あっちのおばあちゃんは独身でまだ色気がある」など周りの人を冗談交じりで言って、仲間から「コラ!」と冗談交じりに叩かれそうになっている様子を見ながら、どこの国でもこうした雰囲気は同じだなあと、なんだか温かい気持ちになりました。
この青空エアロビには5日間通って、毎朝あいさつを交わすようになり、大晦日の朝にはピンクのシャツを着たグループの方々10人以上の記念撮影になぜか自分もおさまっていました。
立命館大学アジア太平洋大学の出口治明さんが「歴史を見ると、つくづく外交は友人の数だと思います」と述べていますが、市民レベルでも「外交は友人の数」なんじゃないかなと思います。