晴れ時々走れ

マラソン、トライアスロン、人生について

佐渡トライアスロン2019⑤ バイク前半

前回から続く。

 

harehashire.hatenablog.jp

 

スイムとは一転、バイクでは地獄を味わいました。あまりにもキツくて路上で昼寝を2回もしました。それでも何とか走りきりました。フラフラになりながら、泣きべそをかきながらこぎ続ける。そんなヘッポコ道中記にお付き合い下さい。

 

まず、走行距離から説明しましょう。佐渡トライアスロンのバイクは佐渡島をほぼ一周するコースです。果たして何kmでしょうか?

答えは190kmもあります!でかいと思う方は多いのではないでしょうか。おそらく地元の人以外は佐渡島の大きさに驚きます。北部と南部には山々が連なっていて、その間に挟まれた中央の平野部にいると、もはや自分が島にいるという感覚をなくします。ちなみに日本では沖縄本島の次に大きい島だそうです。

 

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さて、190kmという距離についてですが、世界的に有名なアイアンマンレースでさえ180kmです。10kmも長い。この190kmという距離感を表現するのは難しいのですが、例えば東京からJR東海道線を乗って小田原を越えて、静岡県に入り、熱海、三島、沼津、富士、清水を通って静岡市に到着。それでもまだ180kmなので、さらに焼津まで。または、関西で例えると、神戸から京都まで行って帰ってくる。それでも足りないので大阪まで行くくらい。うまく伝わりませんが、とにかく果てしなく長い。車でも200km近く運転したらしんどいでしょ。

 

それなのにバイクの練習量と言えば一年間で100km未満。最長距離は新島トライアスロンの40km。おそらく、参加選手のなかで最も走行距離の少ないのではないでしょうか。

 

 スイムが終わると大佐渡という北部を時計回りに走り始めます。練習量が少なくて厳しい闘いになることは自覚しているので、とにかく飛ばさずにゆっくりと走り始めます。すぐに外国人の選手にパスされますが追いかけません。若かりし頃は条件反射で競り合っていましたが自分も経験値が増したものです。

テーマは「ガンバラナイ、でも、アキラメナイ」。だいたい3kmから5kmごとに抜かれます。時には、ついていけそうな選手を見かけても自制します。それにもかかわらず、40kmのあたりで脚が終わってしまいました。ちょっとした坂でも息が上がります。後続の選手にごぼう抜かれです。

 

その後、前半のハイライト、Z坂に辿り着きます。登り坂は好きですが、この日はまったく脚に力が入りません。サイクルコンピューターを見ると、稼いだアベレージ(平均速度)が悲しいくらいに減っていきます。

 難敵のZ坂をクリアしたら、すぐに「大野亀」という坂が待ち受けていました。途中で水を飲もうとしたらボトルを落としてしまいバイクを降ります。降りるときもビンディングペダルを外すのが危うい。身体の感覚がおかしくなっています。明らかにヤバイです。まだ、半分の距離にも達していないのに。

 

脚は完全に売り切れました。そして、呼吸もしんどくなってきました。太平洋戦争でインパール作戦などで行軍を続ける兵士たちもこんな感じだったのかと想像します。行き倒れる一歩手前の感覚です。「休みたい」というより「倒れたい」。

そうしたなか、90kmの中間点の辺りで私設エイドステーションが見えました。ついにバイクを停めて、「少し休ませて下さい」と声をかけました。地元の方かと思いきや、東京の江東区江戸川区トライアスロン連盟の方々が設けたエイドでした。どこの馬の骨だかも分からない得体の知れないオッサンを温かく迎え入れてくれました。

 

そして、そのまま、歩道に倒れこみました。ノックアウトされたような、ノーサイドのような状態で横たわり、頭がジーンと痺れて、目を瞑って、銀輪の過ぎ去る音を聞いていました。此岸と彼岸の間にいるような感じ。

 

「ああ、しんど。リタイアしようかな」

「でも、制限時間までたっぷりあるので、とりあえず寝てから考えよう」

 

つづく。

 

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