晴れ時々走れ

マラソン、トライアスロン、人生について

下りエスカレーター

年末に痛めた右ふくらはぎの状況は良くありません。

30日に走り納めをしようとして25kmくらい走って、さらに痛めてしまいました。今も患部を押すと鈍い痛みがあります。この一年は本当にケガばかりで、劣化する身体を実感する毎日でしたが、そんな折りにタイムリーな特集記事を見かけました。

以下の文章はネタバレになっていますので、ぜひリンク先の記事を先にご覧下さい。面白いです!

 

wired.jp

 

筆者である編集長は同世代の方です。この記事はいくつかの示唆に富んでいます。

1つ目はランニングの生理機能、特に呼吸について。スピード=「フィットネス(体力)」×「ランニングエコノミー(運動効率)」÷「体重」であると解説しています。筆者は最新科学のサポートを受けて、最大酸素摂取量のVO2maxと、耐乳酸値であるLT値を増やすトレーニングに励みます。

具体的には、2時間40分をターゲットにして、VO2maxを増やすためのインターバル走と、LT値を高めるための閾値走を提案しています。

閾値走・・・レースペースと同じくらいの速度で、その三分の一くらいの距離を走ること。

 

確かに呼吸から続くエネルギー効率は大事です。トレーニングというとつい筋力を鍛える方に意識がいってしまいますが、エネルギーを生みだすのはミトコンドリアであり、血液に取り込む酸素量や血管の流れが重要なわけです。思い返せばジョジョの波紋も呼吸に主眼を置いていました。「震えるぞハート!刻むぞ血液のビート!」の意味が今こそ分かるのでしたッ。おおお、オーバードライヴ‼︎

 

さて、脇道にそれてしまいましたが、自分の経験からもサブスリーは距離を踏むだけで到達できると思います。2時間50分切りは閾値走が必要です。そして、2時間40分を切るためには確実にインターバル走でVO2maxを強化しないといけません。

 

 

こうしたナイキのスポーツ研究所のトレーニング法も興味深いのですが、この記事で2つ目に指摘するのがランニングと日々の生活、もしくは人生との関わりです。40代の現状を「無情な下りエスカレーター」と秀逸な表現で書いていて、それはまさに自分が実感していることです。あがいても、あがいてもエスカレーターは下っていく。無理にあがくとケガをして、さらに下まで下っていく。

でも、体力の低下は、実は生活に関する要因の方が大きいのかもしれないとニック・トンプソン編集長は書いています。

 

 ランナーのスピードが落ちる最大の原因は体ではなく、生活だ。結婚して子どもが生まれ、労働時間が増え、親が病気になったりする。つまり、もっと大切なことに時間をとられるようになる。ランニングはたゆまぬ努力を続けた人が報われるスポーツで、いったん離れると復帰するのが難しい。体力が衰えるとランニングが楽しくなくなり、衰えがさらに加速する。歳をとればスピードが落ちるが、スピードが落ち始めたときに歳をとりはじめるというのもまた真実だ。

 

 これも、まさにその通りです。子供とワンオペで向き合うことになった日はあっという間に時間が過ぎゆき、疲れ果てて一緒に寝落ちしてしまいます。それでいて、エネルギー消費量は子どもと同じなのでたいしたことはありません。こうして、世のママやパパはデブになっていくのです。こうした運動を妨げていく要因は、現代社会において人それぞれ様々あります。

 

そうしたなかで、下りエスカレーターに乗っていることに気づく人たちがいます。実はエレベーターの速度は緩慢なので、健康診断の結果が悪いとか病気になるなどのきっかけや、自分を客観視する意識がないと気がつきません。

「いつの間にか、こんなにも下っていた。このままでええんかな?」。下を見れば年をとった先の人たちの見本市があります。残念ながら、あまり良い姿ではありません。そこで、自然の摂理にあらがうことに目覚めるのです。

そして、さらに一部の人はストイシズムに走ります。同じく運動に目覚めるとしても、競争ではなく自分をあるがままに受け入れていく、そんな走り方もあります。きっと、そっちの方が健康的にも精神的にも幸せです。

でも、自分はこの1秒を削り出すストイックな世界が大好きです。実践と結果。そして、それに伴う変化が大好きだからです。マイナスからの変化でかなくても、やっぱり変わっていくということは、面白くて、楽しくて、エキサイティングで、人間の生きる本質なのだと思います。

最後に、自己ベストを見事に更新した偉大な編集長の言葉を記します。

 

朝目覚めると、前日よりも体力が衰え、脚が遅くなっている。

昨日と同じ自分でいたければ、よほど頑張らなくてはならない。すべてはある意味で幻想なのだ。山を駆け登ろうとも、カウチで横になっていようとも、1日たてば誰でも1日分の歳をとる。それでも以前よりも速く走れたなら、それはうまくやれているということだ。

とはいえ、どこかで終止符が打たれることはわかっている。関節が動かなくなり、背中が痛み始める日がいつか来るだろう。あるいは理性が勝るかもしれない。疲労や執着とは無関係な趣味を見つけることの利点はたくさんある。

それでも、自分にそんな心構えができているとはまだ思えない。ランニングの厄介な点のひとつは、ギャンブルと同じで、なまじいい結果を出してしまうとやめるのがとても難しいということだ。

すべてがうまくいった。でも、もっとうまくやれたんじゃないかとつい考えてしまう。

「時の翁」がこれまで誰にも打ち負かされたことがないことは知っている。でもいまのところ、ぼくには新たな目標、新たな計画、新たなデータが必要だ。目標が決まったら、新しいスプレッドシートをつくり、シューズとソックスとパンツとシャツを身につけて、また一歩を踏み出すだろう。

 

 いまは、ケガでどんどん下がるエスカレーターに乗っていますが、回復したら駆け上がって例え1cmでも上からの世界を眺めてみたいと思うのでした。

 

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