晴れ時々走れ

マラソン、トライアスロン、人生について

静岡マラソン2018 消えた計測チップ

2年ぶりに静岡マラソンに出場しました。静岡は社会人になって初めて勤務した思い出の地です。久しぶりに訪れた静岡は良くも悪くも変わらない街です。

 

日本は人口減少の渦中ですが、その実情は二極化しています。東京や大阪、札幌、福岡などの大都市は地域の人口をどんどん吸い上げ、駅前や街中は人でごった返し、日々、新しいものができて景色が塗り替えられています。

一方で、中規模の地方都市の駅前はどんどん店がなくなり、駐車場や更地になり寂しい景色となっています。そうしたなか、静岡はきらびやかな発展もせず、かといって廃れもせず、不思議な均衡を保っています。以前から街の中心部では地元の商店街に活力があり、コンビニやファミレスが進出するのも遅かったように思います。

 

おもちゃのタキイや山忽、テンジンヤなど懐かしく眺めては感慨に浸りながら走りました。


別大マラソンから2週間で京都マラソン。そこから2週間で静岡マラソン。フルマラソンを本気で走ると2週間では回復しませんね。筋肉の力は戻っても内臓がダメです。最初から重だるい感じでピッチが上がりません。さらに、この日の最高気温は21℃。一気にやってきた春の陽気に身体は対応できず、汗をかいてどんどんエネルギーが失われていきます。

 

それでも、お世話になった静岡の皆さんの応援に応えようと頑張りました。ハーフの通過は何とか1時間22分台。太平洋を望む久能街道に出て、燦々と輝く海を眺めますが、タイムはズルズルと落ちていきます。


清水区に入り、通称「静岡版・清水の坂」で動かない脚にムチを打ち、喘ぎ、もがきながら、最後のストレートで1人を交わして、何とか最低限の目標である2時間50分を切りました。

 

しばらく動けずにへたり込んで計測チップの回収場所に行くと違和感を覚えます。あるはずのものがない。シューズに付けたチップがない!

 

チャラリー♪

完走するも、記録なし。

 

力がへなへなと抜けました。

 

思い返せば、スタート前、トイレで長蛇の列に並んで、手荷物預けがギリギリになってしまいました。慌てて準備する間に、チップを留めるハリガネをどこかにいってしまい、手元に残ったのは1本のみ。仕方なく、その一本を強引に捻って2枚分の計測チップをシューズに括り付けたのですが....。運動に対して強度が耐えられなかったのでしょう。

 

後で記録を見ると35kmまでは計測されていたので、最後にハリガネが力尽きて破断してしまったようです。

 

社会人なりたての頃と変わらず安定のボケっぷりが可笑しくなりましたが、人間、そう簡単には変わりません。せめて世間様に迷惑をかけないようにしたいと思います。

 

なお、後日、陸連からわざわざ事情聴取のヒアリングの電話がかかってきました。公認コースなので、不正がなかったか状況の聴き取りをするのですね。お手数をかけて申し訳ないです。話によると、どうやら、完走者にはカウントされるものの、公式記録は認められないということです。

 

ただ、残念な気持ちはありません。これぞ、まさに「記録より記憶に残る」レース。失くし物をしたかげで、逆に身体いっぱいに記憶が刻まれました。

 

フィニッシュ後にうららかな陽射しのなか食べた清見オレンジの甘酸っぱさ、そして、メダルをかけてくれたアジア(ミャンマーインドネシア、マレーシア、ネパールなど)からの留学生たちの笑顔がとっても素敵で、春の訪れと明るさを忘れることはないでしょう。

 

ラソンシーズンも今季はこれで終わり。うららかな季節の到来を嬉しく感じつつも、ランナーにとっては一抹の寂しさも感じながら春の陽光を浴びるのでした。

 

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