ランナーのための肉離れ体験記2
前回はこちら。
神戸マラソン一週間前に右脚のハムストリングを肉離れしてしまい、今後のレースプラン、つまり神戸、大阪、NAHAの3連戦に出場するかどうかを考える必要に迫られました。
脚の状態を考えれば、神戸は回避。翌週の大阪は状況を見て回避。そして、NAHA出走が現実的です。肉離れは少なくとも1週間は安静と言われています。完治せずに走れば酷くなることは必至です。
そうして迎えたレース当日。前日までの予報とはうってかわって快晴の朝を迎えました。あまりの青空にレース出場を決めました。
青空や太陽は人の気持ちを揺さぶる不思議な力があります。カミュの小説「異邦人」で「太陽が眩しかったから」という有名なセリフがありますが、この日の朝の私の心情は「空が青かったから」です。
逆に快晴のなか走らずに家で悶々と過ごす後悔を考えたら、居ても立っても居られません。
ということでスタートラインに立ちました。ひんやり晩秋の空気を素肌に感じて、青空にひかれた六甲の稜線を見上げ、響き渡る「幸せ運べるように」の合唱を聴きながら、やっぱり神戸に来て良かったと思いました。
さて、とりあえず並んだのは良いのですが、レースペースの検討が必要です。
肉離れをしてから一週間のブランクで痛みは消えました。前日には軽いジョグもできました。ただし、どれだけ楽観的に見積もってもフルマラソンを走り切れる状態ではありません。
ペースはいつもより50秒くらい遅い1kmあたり4分50秒くらいで様子を見ましたが、5km地点で早くも右のお尻に張りが出てきます。お尻はメインの駆動力です。どうやら肉離れしたハムストリングスが機能しないため、お尻に負担がかかっているようです。
そして、ついに8km地点で患部に鈍い痛みの予感が出て来てきました。一度沿道で止まります。途切れることのない大群のランナーがあっという間に過ぎ去っていきます。
リタイアポイントである11kmの須磨浦公園まで行って、係のおばちゃんにチップを渡します。おそらくリタイア第1号。ガラガラの収容バスに乗り込み、窓から海沿いを走るランナーを眺めます。
不思議と悔しさはなく、太陽の光が心地よくてうつらうつらとします。バスの中ではラジオ関西の神戸マラソン中継放送が流れています。有森裕子さんが「『がんばれ』と応援するより、『がんばっているよ』と声をかけるとランナーにとっては嬉しい」というような話をしていました。
最近、寝不足だったせいで1時間ほど眠り、ふと起きるとバスは満席になっていました。汗だくで、まだ息が整っていない方もいます。制限時間をオーバーして収容された方々です。
収容バスは11時30分に出発。ランナー同士の会話はなく静かですが、体温のせいか妙に暖かさがあります。フィニッシュ地点に到着すると、汗だくのランナーやけいれんして倒れているランナーが目に飛び込んできます。
収容バスでもらった白い救護用タオルを記念にもらって帰りました。色鮮やかなフィニッシャータオルの代わりとして。
さて、想像以上に走れなかった神戸マラソン.。次週の大阪マラソン。やれやれ、困ったことになりました。
つづく