晴れ時々走れ

マラソン、トライアスロン、人生について

鯖街道ウルトラマラソン2017①前日編

「京は遠ても十八里」。

この言葉を小浜ではよく目にします。どう解釈したら良いか分かりませんが「京都は遠いと言ってもせいぜい十八里(72km)だからグダグダ言わずしっかり鯖を運びなはれ」といった感じでしょうか?ただ、実際の行程は街道と言いながら800m級の峠越えが二箇所もある、なかなかに厳しいコースです。昔の人の鯖を運ぶ苦労がしのばれますが、その時代に生きていたなら就てみたい職業でもあります。ちなみに今回の鯖街道ウルトラマラソンの距離は十八里より少し長くて77kmあります。

 

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小浜から鯖街道を通って京都へ。国内に数多くのレースがありますが、これほど魅力的なコンセプトは他にないと思います。何よりも「日本海から京都まで」というインパクトが大きい。77kmの距離は何となく遠いイメージでしかないけれど、日本海から京都までと聞くと「マジで?走れんねんや!」と確実に反応が違います(それだけ京都と小浜の心理的距離が現代において遠いのかもしれません)。しかも、フィニッシュは出町のデルタ付近。京都で青春時代を過ごした者として一度は出なくてはならない大会だと常々、思っていました。

 

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京都から小浜まではツアーバスで移動。ウルトラ&トレイルの大会のため年齢層は高めです。バスの中では常連さんと思われる関西の女性陣の活気あるおしゃべりが繰り広げられていて、さながらオジさん、オバさんの修学旅行状態でこういう雰囲気好きです。

移動中、主催する京都トライアスロンクラブの方が興味深いガイドをしてくれました。「古来、日本海側は裏日本ではなく表日本だった。遠敷(おにゅう)など難読漢字は、朝鮮から移り住んだ人々の言葉がルーツになっている」とのことでした。確かに街道沿いの街並みは趣きのある場所が其処彼処にあります。往時は大陸との交流で栄えたのでしょう。

 

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バスで2時間半くらいかけて小浜に着くと、焼き鯖のサービスが迎えてくれました。じっとり滴るほど脂がのっていて本場で食べる鯖の実力を見せつけられました。「これは!」と山岡士郎のように叫びたくなりました。

商店街では、串に丸々一匹刺した焼き鯖も売られていました。NHK朝ドラ「ちりとてちん」で観たままの光景です。ドラマではケンカの仲裁が好きな焼き鯖屋の主人が出てくるのですが、彼の着ているTシャツのデザインがいつもツボにハマっていました。もし、お土産として売っていたら確実に買うのになあ。ちなみに「ちりとてちん」は2000年以降の朝ドラで最も優れた作品だと思っています。視聴率は高くありませんでしたが、コアなファンが多くDVD販売は歴代トップクラスだと何かの記事で読んだ覚えがあります。

 

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宿泊は「せくみや」というホテルです。披露宴で使われる大宴会場での食事はレース参加者で埋め尽くされました。同席した遠方からの参加者にお声がけします。「旅費と移動が大変」「家族の理解が必要」「コースはどんな感じ」など軽いジャブのようなたわいない話ばかりですが、こうした時間は人間同士の距離が近づいて良いですね。はるばる北海道や九州からもランナーが出場していて、皆さんとても嬉しそうにアクセスが大変だと語っていました。アクセス大変だから良いんですよね。

 

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食事は魚尽くし。後半にはさらに焼き物と揚げ物が出てきて予想外のボリュームでした。一方でご飯は各自のコンロによる炊き込みご飯でした。もし白米にすると100人以上の大食いたちがお代わりする量の予測がつかないからでしょうか。確かに炭水化物が大好きな人々ですから米を早々に食い尽くすかもしれませんし、逆に大量に炊いて余ってしまうのも困りものです(ちなみに白米のお代わりはできました)。ただ、ご飯のお代わりが必要ないほど魚尽くしのおかずでお腹が膨れ、カーボローディングならぬフィッシュローディングとなり、明日は魚エネルギーで山越えすることになりそうです。

 

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温泉も良かったですし、無料のマッサージ機があったのも嬉しかったです。鯖街道トレイルについてのトークショーが近くで催され、小浜の豊かな自然について知ることもできました。外に出ると夜の帳が降りて静かな街並みが広がっています。周りにコンビニもなく、落ち着いた雰囲気です。レースに向けて静かに気分が高揚してきました。

 

「京は遠ても十八里」。ここに込められているのは小浜の人の誇りかもしれません。自分たちの文化は京都とつながっているんですよ。

 

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