晴れ時々走れ

マラソン、トライアスロン、人生について

1.17追悼ラン

阪神・淡路大震災から22年の1月17日。

仕事が終わってから神戸・三宮にある東遊園地へ。午後9時前、仕事帰りの人で溢れる阪神三宮駅の地下街を、駅に向かう人の流れに逆らって東遊園地へ急ぎました。ここでは、毎年、「1.17のつどい」という竹灯籠に火を灯す追悼行事が行われています。会場に到着するとちょうど消灯時刻の9時で実行委員長が挨拶を始めました。会場は思っていた以上に人がまばらでした。

 

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実行委員長が「もしよろしければ竹灯籠の火を消すのをお手伝いください」とアナウンスされました。しゃがんで、大きく息を吸い込んでいくつかの火を吹き消しました。

この追悼行事は1月17日のシンボルになっていますが、竹を切り出す準備から含めてボランティアが中心の手作りで運営されています。ほんのわずかなことでしたが、行事の一部を担えたことが嬉しかったです。震災の起きた午前5時46分前後は大勢のメディアが詰めかけ、なかなか静粛な気持ちにはなれません。しかし、この時間はメディア関係者もおらず、静かに震災に向き合える時間でした。

 

自分は被災者でも遺族でもありません。ただ、こうした節目のときは、現場での時間を過ごすことは大事だと思います。テレビやパソコン、スマホの画面では情報を消費して終わりですが、現場にいるからこそ感じたり、考えたりできます。自分が若いころは、同世代の犠牲者に思いをはせ、突然、人生が終わった無念さについて考えました。最近は、幼い子を亡くした遺族の気持ちばかり気にかかります。我が子を守ってやれなかった親の気持ちは本当にいたたまれません。

 

6434人の方が亡くなりました。それぞれの方に遺族や友人、同僚などがいて、悲しみと喪失感は消えないでしょう。しかし、「亡くなった赤ちゃんが成人する年になったからビールをお供えした」というテレビのインタビューを聞きながら、亡くなった方々は記憶のなかでずっと生き続けていることにも気づかされました。

 

震災について風化が問われています。神戸も震災を経験していない人が半数近くになってきています。「1.17のつどい」も年々、参加者が減っているようです。仕方がないことだとは思いますが、それでも同じ社会で生きる者として、やはり何かしらの形で亡くなった方々を悼むべきだと思います。そして、なるべく多くの人が関われるきっかけを地道に作っていかなくてはいけません。

 

とりあえず自分にできることとして、こうしてブログを書いています。

 

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小さな白い菊の花を献花してから、神戸から大阪まで夜道を走って帰りました。30km以上あります。ものごとを深く静かに考えるのには夜中に走ることはうってつけです。雑念が消えて今ここに集中することができます。

震災に関するラジオインタビューをiPhoneで聴きながら走りました。当たり前のことですが、震災の前日まではそれぞれにごくごく普通の人生がありました。それがたまたまの巡り合わせで犠牲になってしまったのです。眠っていた場所によって助かったり、助からなかったり、たまたま帰省したり、訪問したりしたことで亡くなったり。

 

とても静かで、穏やかで半月のきれいな夜でした。神戸、芦屋、西宮と2号線を走りながら、きれいになった街並みを眺めました。この街で震災があったことが不思議に思えるくらいです。しかし、明日は何が起きるかわかりません。亡くなった方々に報いるためにも、震災を教訓として私たちは身の回りの防災について考え、次の被災者にならないようにしないといけません。

例えば、自宅の寝室だけは倒れたり、落ちたりする危険なものは置かないなど。防災というと非常食など持ち出し袋を用意する人が多いと思いますが、何より大事なことは命が助かることです。非常食も大事ですが、自分は死なないというところを出発点にして思考を始めるのは危険だと思います。まずは、命を守るためにどうしたら良いのかを考えなくてはいけません。

 

人間は忘れっぽいです。そして、今を忙しく生きています。だからこそ、せめて節目のときだけは意図的に時間をとって考える必要があります。人それぞれのやり方があると思いますが、自分なりの方法として走ることにしました。

その街のこども」という映画があります。震災の前日から朝にかけて、ひょんな行きがかりから若い男と女がそれぞれの被災経験を胸に抱きながら、夜道を歩いて東遊園地を目指す物語です。その歩くルートと自分が走ったルートはまったく違うのですが、この映画の記憶もあって静かに向き合うために追悼ランをしました。

sonomachi.com

 

6434人の亡くなった方々のご冥福を心からお祈り致します。そして、深い喪失感を抱えたご遺族の方々の気持ちが少しでも安らかになることを願います。

 

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