晴れ時々走れ

マラソン、トライアスロン、人生について

旅にはシューズを

旅行には必ずランニングシューズを持参します。日常生活では練習のモチベーションが上がらなくても、知らない土地での非日常空間はモチベーションを上げてくれます。個人的に旅行は、ランニングの合宿と位置付けています。ということで、先日、三重県の伊勢志摩へ、義父の喜寿祝いの家族旅行(兼合宿)に行ってきました。

 

合宿1日目。

近鉄伊勢志摩ライナーはとても快適です。周遊券になっている特別切符もかなりお得でした。途中、車窓から棚田の風景を見ながら、こういうところを走ってみたいなあと夢想する時間も楽しいものです。初日は鳥羽水族館を見学。セイウチショーが評判通りの面白さでした。子どももセイウチのボーボーと笑うモノマネに喜んでいました。宿にチェックインしてお腹一杯の食事を食べ、子どもを寝かしつけて夜9時に就寝。

 

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合宿2日目。

日中は家族で観光を楽しむため、朝5時に起きて朝食の始まる7時までが自由時間です。宿泊場所は鳥羽でした。まだ暗い中、海岸線を走ります。街灯のない場所も多いので、自転車用の小型ライトをシューズにつけて点滅させます。家族が寝ている間、自分だけのもう一つの旅が始まります。

知らない道を走ることはとてもエキサイティングです。この先に、どんな風景が広がっているのだろう。どんな暮らしがあるのだろう。想像すると冒険心をかきたてられます。鳥羽の海岸線は入り組んだ地形です。アップダウンがあってなかなか良いトレーニングになります。上り坂は暗闇のなか先が見えず、くねくねと曲がりながら続いています。そうこうしていると峠を越えて下りになり、入り江に集落が現れます。小さな峠を越えては小さな浦に出ての繰り返しです。じょじょに空が明るくなり、まわりの景色が淡い色を帯びてきます。誰もいない海岸で犬を走らせている人がいます。静かな音のない風景です。

 

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もう少し先まで行きたいところでしたが、朝食に遅れると顰蹙を買います。よって、ここでターン。帰り道を急ぎます。温泉で汗を流して、ちょうど良い具合にお腹を空かせて朝食のテーブルにつきます。

この日の観光は伊勢神宮。外宮から内宮とみてまわり、日中もかなり歩きました。想像以上に広くて、厳かな空間でした。大木がたくさんある空間に包まれていると心が鎮まります。途中から子どもが抱っこ星人になって大変でしたが…。義母は修学旅行以来とのこと。20年に一度遷宮が行われるなか、自分が次に来るのはいつごろだろう。子どもは後、何回、遷宮に巡り合うのだろう。

 

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合宿3日目。

同じく早起きをして走りに出かけました。夜明け前は不思議と温かく感じます。何かに包まれている感じです。時間的余裕があったので、昨日よりももっと先まで脚を伸ばすことにしました。県道の脇に小さなトンネルを見つけました。車では通れない道です。トンネルや橋は冒険心を最大限にくすぐります。

 

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県道はこの先、峠を上っていくのですが、トンネルをくぐるともう一つ別の集落が現れました。かわいらしい小さな街灯が灯っています。小さな郵便局のある漁業の町です。静かな入り江の朝に潮の匂いがします。軽トラックで仕事に出かける女性を見かけます。なかには海女さんもいるのでしょうか。全国2000人の海女のうち500人が鳥羽にいるそうです。走ることのメリットは、こうして、車では見えない風景、オートバイでも自転車でも感じられない風景と出会えることです。スピード感においても、目線においても、その土地の匂いをかぎ分けられる適度な距離感があります。

 

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集落を離れてから、尾根を上がりパールロードという観光道路に出ます。ドライブをしたら気持ちよさそうな道を一人で独占して駆け抜けます。朝早くなので交通量はほとんどありません。この道をずっと進めば志摩に辿り着きます。もっともっと欲望のままに走っていきたいところですが、ここでタイムリミット。ホテルの朝食に間に合うように戻らなくてはいけません。行きは寄り道をしすぎたので帰りは時計とにらめっこ。きっちりペースを刻みながら、時間通りに朝食会場に到着します。できるビジネスマンのようです。

 

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日中は志摩の賢島で遊覧船に乗って英虞湾クルーズを楽しみました。賢島遊覧船組合の船長の味わいのあるガイドが素晴らしかったです。

無人島にはイノシシとタヌキがいてね。島から島に泳いで渡るのね。でも、夜行性だから、見たことはありません」

「サミットの時はね。海上保安庁の船とかすごい数でね。一週間以上営業は休み。補償は出ません。でも、日本のためになるなら良いのね」

ゆったりとした口調のところどころにユーモアを挟みながら、自分たちの暮らしを支えている海への誇りが伝わってきました。

 

結局、2日間で50km近く走りました。知らない道があれば走りたくなる。これはランナーの習性です。そして、走って頭とお腹をすっきりさせてからの観光は、観るものは澄み渡って感じられ、食べるものは美味しく味わうことができて最高です。これからも旅にはシューズを。

 

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