晴れ時々走れ

マラソン、トライアスロン、人生について

【大阪マラソン】割り込む人々

今年の大阪マラソンは心身ともに厳しい状態で迎えたレースでした。

仕事が追い込み、連日の寝不足、昼夜飯抜きのひどい食生活、加えてレース前日の飲み会で二日酔い。さらに、ようやく仕事で一つのプロジェクトが終わったのに反省点が多く、残ったのは疲ればかり。かなり消耗した状態でレース当日の朝は起きるのも億劫。それでも、走らなければ激しく後悔するのは目に見えているので、とりあえずレースに臨みました。

 

そんな状態で自分のブロックのスタート地点に佇んでいると、いつものごとく前に前にと割り込んでくる方々がいます。自分も気持ちの寛容性を失っているので、ついつい「せこいなあ」と声が出てしまいます。でも、本当にセコイのだから仕方がないのです。ズルイではなくて、セコイです。勝つために貪欲に狡くなるタイプは案外、嫌いではありません。反則スレスレのラフなプレーで相手を削るサッカー選手だったり、ブーイングを浴びながらヒールになる格闘技選手だったり。でも、マラソン大会の割り込む人たちは、ズルイではなくセコイんですね。

マラソン大会における「割り込み」はなぜ、なくならないのでしょう?割り込みを行うほとんどの方は日常生活ではきっと善良な市民だと思います。スーパーのレジで割り込みをするはずはなく、会場での受付でも割り込みはしません。ふだん困っている人がいれば席を譲ったり、助けたりする人たちでしょう。それなのになぜマラソン大会になると割り込むのか?このことについては以前もエントリーしました。

harehashire.hatenablog.jp

 

割り込む方々を観察してみると、いろいろなパターンがあります。

前を見て知り合いを探しているふりをわざわざ見せて、そこに合流するために仕方ないのだという雰囲気で行く「偽善者タイプ」。友人やチームメイトが前に行くのでなんとなく流されてついていく「小市民タイプ」。明らかに自分はみなさんより速いですから前に行くのは当然です、と進んで行く「オレ様タイプ」。たくさんの人が割り込むのを見て損をした気持ちになってしまい焦って自分もついていく「ドケチタイプ」。これらの人たちは、割り込み行為に対して正当化する何かしらの言い訳を作っています。だから、せこさを感じてしまうのです。

 

また、割り込みが残念な理由のもう一つはその行為がまったく合理的でないことです。人を押しのけて押しのけて5m前に行ったとしても、得をするのはせいぜい数秒。さらに、ぐんぐん猛進して100m前に進んだとしても数十秒しか変わりません。何を得て、何を失っているかがまったく分かっていないと思います。割り込み行為によって、数秒のアドバンテージを得るでしょう。でも、その一方で「こいつセコイやつやな」と周りから思われます。もちろん寛大な心を持っているランナーも多いと思いますが、自分も含めていろいろと感じている人もいるわけです。失うのはその人の信頼です。そして、せっかく頑張ってきた練習の価値全体を損なうことにもつながります。

 

レースの終盤などでは身体の疲労が限界値に近づいて冷静でいられなくなることもあるでしょう。つい声を荒げてしまったり、マナーが悪くなったりするのは当然、良くはないことですが、その気持ちは分からないでもありません。でも、スタート地点は別です。身体も心も余裕があります。それなのにモラルのない行為に出るのは、やはりセコイとしか言いようがありません。

 

そもそも、ある選手が前に並べなかった理由はなんでしょう?あまりにも明確すぎる答えです。その方が遅れてやってきたからであり、120%自己責任です。そして、割り込むということは、それまで並んでいた人たちの場所を我が物顔で占領しているということに気付いて欲しいと思います。もっと言うと、並んでいた人たちのタイムを奪っている。1人あたりのロスはコンマ何秒かもしれないけれど、割り込まれた人たち全員のタイムを合計したら相当なもんですよ。

 

最後に。非難轟々に書きましたが、自分もかつては割り込む行為をしていた一人です。タイムスリップできればかつての自分の後頭部をハリセンで思い切り引っぱたいてやりたいくらいです。本当に独りよがりで周りが見えていなかった。だから、いま、つい割り込んでしまっている皆さんはぜひ自らをメタ認知して、そのセコさに気づいてほしいと思います。

 

ちゃんと並ぶ行為は(当たり前のことをしているだけですが)気持ち良いものですよ。焦ることもなく、落ち着いて安らかな気持ちでレースに臨めます。1秒にあくせくせず、案外、全体としては良いタイムが出るものです。

 

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