晴れ時々走れ

マラソン、トライアスロン、人生について

ウェットスーツ考

トライアスロンの魅力は何かと言われれば、自然のなかで、自らの力を尽くして、そのときのベストを目指すスポーツだと思います。だから、雨が降ったり、蒸し暑かったり、風が強かったり、坂が険しかったり、波が高かったりと天候や自然環境に大きく左右されますが、それこそがトライアスロンの醍醐味です。

 

そのうえで、ずっと不思議に思っていることがあります。

それは、エイジクラス(市民アスリート)では、ほとんどの大会でスイムのウェットスーツ着用が義務になっていることです(オリンピックやワールドカップなどのエリートクラスは条件が違います)。

私はウェットスーツが好きではありません。苦手です。身体全体がゴムに覆われて窮屈で暑苦しくてたまりません。

なぜ水着ではダメなのでしょうか?せっかくの大自然を身体全体で満喫しようと思っても、あのぶあついゴムに包まれていてはその感覚を味わえません。肌をすうっと滑っていく水流を感じたり、冷たい潮の流れに触れてひやっと反応したりすることはありません。

身体は締め付けられて自由に動かせません。ウェットスーツとケンカをしながら泳いでいる感じです。ボンテージファッションで走っているようなものです。

さらに、気温や水温が高い場合、保温効果抜群のウェットスーツによって身体に熱がこもってしまいます。過去の大会では、意識が朦朧となって熱中症の手前ではないかと感じたこともあります。

 

なぜ、ウェットスーツ着用義務なのか?理由は多発しているスイムでの不幸な事故を防ぐためです。10年ほど前はどこの大会もウェットスーツは着用推奨でした。しかし、事故が相次ぐ中で、大会主催者としては万全を期すことが求められ、または様々なクレーム対策として、もしくは上部組織の指導の下、ウェットスーツ着用義務となったのでしょう。でも、一律の義務化はあまりにもナンセンスだと思います。

 

いまでは、ウェットスーツを義務としない大会は宮古島トライアスロン、伊是名トライアスロン、うつくしまトライアスロン、五島トライアスロンくらいです。

さらに、興味深い考え方を示しているのがアイアンマンシリーズです。アイアンマンとはハワイを中心に世界各地で行われているロングの大会で、最も権威のある大会です。アイアンマンはさすがトライアスロン発祥の地、アメリカの事務局が運営しているので、大自然を楽しむトライアスロンの魅力をよく理解しています。

アイアンマンでは、ウェットスーツは「場合によっては着用は可能ですよ」という判断です。つまり、着ないことがベースとなっています。さすが、自己責任の国アメリカです。ふだん、アメリカ的なことは苦手に感じることもあるのですが、こうした個人の判断を大切にする、合理的な考え方は支持します。

 

ウェットスーツを着ないレースは他にもあります。オープンウォーター(遠泳)の大会ではトライアスロンとは逆にウェットスーツ着用は禁止です。選手は水着で泳がなくてはいけません。

 

以上の例を考えれば、国内のトライアスロンのレースでウェットスーツを着用しなくても大会は開催可能なはずです。今後は何とか義務化しない大会が増えて欲しいと思います。

一方で、日本人の横並びな考え方にも違和感を覚えます。私は、着用しなくても良い大会では水パンで出場しますが、周りはウェットスーツばかりでかなり浮いています。

もっと、トライアスロンは自由で良いのではないかと思います。そして、もっと自然を味わう身体感覚を大切にしたら良いと考えます。

 

あくまで、個人的な感想です。大会関係者が規制をせざるを得ない立場であり、不慮の事故を無くすためには致し方のないことは十分に理解しています。泳ぎに自信のない方はウェットスーツを着るべきだし、着ないで事故が起きたときの責任はどこまでも個人に依る覚悟が必要です。

 

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