マラソンと待機児童の問題をこじつけて考えてみた #taikijidou0challenge
いつもはマラソンネタばかりのブログですが、今回「待機児童ゼロチャレンジ」というバトンが回ってきましたので、違った趣向の内容を書きたいと思います。このチャレンジはyuichiさんという双子のパパが始めた、問題提起のためのチェーンメールならぬチェーンブログです。
そして、このバトンを渡してくれたのは学生時代に同じ寮で過ごした友人です。彼は去年8月にブログを開始。その影響を受けて自分も11月から始めました。そして、お互い子育て世代ということでバトンを渡してくれて、ブログがもたらす様々な縁と、ブログがもたらす社会的なつながりを面白く感じています。
うちの家庭もいずれは保育園が必要となり、待機児童の問題は他人事ではありません。しかし、まだ悲喜こもごもの保育園入園戦争には突入しておらず実感はありません。2月1日にバトンをもらって3週間。はて何を書こうかと考えあぐねていました。
その間、待機児童の問題はネット上で「保育園落ちた。日本死ね」の直截的なメッセージが話題になり、子育てに関しては宮崎謙介元議員が筋書きの読めない展開で自らの政治生命をかけた(?)問題提起で、我れ関せずだった社会に少しずつさざ波が起きています。
これまでに様々な識者の方々が、素晴らしい現状分析や提言を行っています。それ以上のことを自分が言えることもないので、待機児童や子育ての問題について、思ったり考えたりしたことを徒然と書いていきます。
新しくて古い少子化問題
先日、見たNHKスペシャルで放送された少子化の経緯がとても興味深かったです。
【NHKスペシャル】 私たちのこれから Our Future|NHK
平成元年にすでに「1.57ショック」という事象が起きていました。これは、出生数が極端に少ない丙午の年(昭和41年)の出生数をついに下回った出来事でした。ちなみに、人口維持に必要な出生率2.08は昭和49年から達していません。しかし、かれこれ数十年もの間、日本は楽観的に過ごして少子化の問題は置き去りにされ、重い腰を上げたら経済状況の悪化などの要因もあいまって効果的な対策を打てず現在の状況に至りました。
番組では政府の対策への批判がありましたが、マスコミの責任も大きいでしょう。なぜなら、マスコミは完全なる男社会で家庭を犠牲にするようなスタイルで仕事を行ってきた現場であり、こうした環境で女性が生み育てることの大変さについて寄り添う問題意識は生まれにくかったと思います。社会の木鐸たるメディアが旧態依然のオジサン文化ではどうしようもありません(最近では変わってきていますが)。こうした体制を変えるためにも女性の社会進出、活躍がもっと進むことが大切です。
ただ、過去のことについて後出しジャンケンでダメだししても始まりません。もはや、これ以上先送りすると破たんを免れないほど、少子化危機の最終局面に入っている状況でどうすべきか、これからのことを考えていくべきです。
思い切った若い世代優遇策を
子育て対策は政策主導で行う必要があります。多額の予算を子育て世代や子育て産業に割り当て、市場経済のインセンティブの力も利用しながら、子どもを産み育てる社会を作るしかありません。番組ではフランスや岡山県の自治体の例が出ていて、インセンティブが働き、そうした価値観が浸透すれば子供が増えていくことが示されていました。
ここで、個人的に頑張ってもらいたいのが野党の人たちです。自民・公明が高齢者対策に力を入れている現状に対して(もちろん少子化対策も行っていますが)、リベラルを標榜して政権交代を目指す野党にこそ、若い世代に突き刺さる思い切った決断を期待したいです。
ところが、そうした雰囲気が感じられません。かえって政権与党の方が着々と取り組んでいるような印象さえあります。野党は、安全保障関連法案についての結束も大事だと思いますが、どこか地に足がついていない感じがしています。
私は元々リベラルな立場ですが、子供ができると本能がそうさせるのか保守的な考えも生まれてきました。リベラルな政党はもっと子育て家庭に訴求する政策を押し進めないと、どんどん人々は離れてしまうと思います。
チャリティの活用で子育て支援
次に、政治参加以外に自分の生活レベルで何ができるか?このブログはマラソンの話ばかりなのでその視点から強引に考えてみます。マラソンはチャリティと非常に相性の良いイベントです。参加者は自分の限界への挑戦と、社会の何かしらをリンクしたいと考えるものです。そうしたことを背景に東京マラソンや大阪マラソンでは、チャリティランナーの制度が広がっていて、東京マラソンでは今年初めて10万円のチャリティ枠も完売しました。私も去年の大阪マラソンで病児保育の支援機関に寄付をして走りました。待機児童の解決策と話がずれますが、子育てや少子化の取り組みとチャリティをもっと組み合わせていけば、待機児童の問題にも影響があるのではと思います。
また、マラソンなど趣味の世界で良いのが、年齢や職業について様々なレイヤーの方々と広くつながれるということです。一般的に子育て家庭は同じような子育て家庭のつながりが強くなります。そして、育児に専念していると違うタイプの人生を歩んでいるレイヤーの方と接する機会はますます少なくなります。つまり、自分たちのことを理解してもらえないまま、社会に埋もれてしまいます。こうしたとき、マラソンなどの趣味を通した、ゆるやかなつながりの場で子育て家庭の状況について少しでも話せば、「彼のところも保育園探し大変やねんな」などと少しずつ理解者を増やすことにつながると思います。
自分の人生を振り返っても、子供が産まれるまでは少子化問題はどこか他人事でした。子育ての具体的な話を友人や親戚などから聞いて多少は共感しても、なかなか当事者意識には至りません。しかし、伝えなければ、理解してもらえる機会すら生まれません。小さなことの積み重ねですが、こうした地道なことによって、理解者を増やして、子育て政策に予算配分することに対する、社会の合意形成につながればと思います。
なお、少子化には完全に反対するわけではありません。何でも産めよ殖やせよだけが唯一の価値観ではないと思います。日本が縮小する社会を受け入れ、これまでと違う価値観を大事にした世界を構築することも選択肢の一つです。ただ、ここまで急激な人口減少は地域や産業、世代間にあまりに大きな歪を生むため避けなくてはいけません。これは現在を生きる現役世代の大人の責任です。できることを一生懸命やって、次の世代にタスキをつなぎたいと思います。
こういう文章を書くのは骨が折れますが、自分の無知を知り、伝える能力の貧しさに愕然とし、もっと学んで社会に小さな石を投じなくてはと向上心が湧いてきます。時刻はまもなく午前2時。今回、機会を与えてくれた友人、そしてtaikijidou0challengeを企画したyuichiに眠い目を瞬かせながら感謝します。
追記
バトンは学生時代のクラブの同期で、函館で八百屋を営む3児のパパ、すず辰さんに渡します。
ブログバトンがやってきた!「待機児童に思うこと」 #taikijidou0challenge - “八百屋界の旭山動物園”を目指す八百屋、すず辰の子育て日記 - Yahoo!ブログ