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晴れ時々走れ

マラソン、トライアスロン、人生について

景色が変わる歓び

先日、久しぶりにスポーツクラブのトレッドミルで走りました。

初めて、バーチャル機能を試してみたのですが、なかなか面白かったです。

この機能では、画面にドライブショットが映ります。私が体験したのはドイツのトレイルを走るコースです。画面に映し出される、森の中を縫うように続く道を走る気分を味わえます。上り坂では自然と脚に力が入り、下り坂ではリラックスをし、人とすれ違うときはぶつからないようにステップを踏み、意外と身体はバーチャルな映像にも反応することに驚きました。

踏み輪を回すハムスターのように同じ場所をクルクルと走り続けるトレッドミルは精神的にきつく苦手で、いつもは30分が限界でしたが、今回は1時間走っても平気でした。

景色の変化が、脳を飽きさせず、快適な走りをもたらしてくれました。

 

この経験をもとに、屋外でランニング練習する時にもある変化を加えました。それは、同じ目線で走り続けるのではなく、視点をあちこちに散らしながら走ることです。あくまで個人的な実感ですが、いろいろなものを見て走る後者の方が楽に感じました。

苦しさや面倒くささは、脳が判断しています。それならば、脳にそう思わせないよう、楽しい刺激を与えることが良いと思います。「あの建物は何だろう?」「これは何の花?」「いますれ違った人はどんな人?」など脳にワクワクを感じさせます。

 

景色が変わることは、育児や介護においても大事かもしれません。ふだん健康なときは当たり前のように景色の変化を認識していますが、動けない人にとっては最高の楽しみに感じるのではないでしょうか。たまに、風邪などで寝込んで、久しぶりに外を歩いた時に味わう、世界が一新されたかのような新鮮な感覚は何とも言えません。移動をすること、景色が変わることは、人間の根源的な歓びにつながるのだと思います。

 

以前、読んだ本を紹介します。

「びわこ学園」の医師、高谷清さんが執筆した「重い障害を生きるということ」です。「びわこ学園」は身体や知能に重度の障害のある児童らが生活する施設です。

重い障害を生きるということ (岩波新書)

重い障害を生きるということ (岩波新書)

身体の障害の重い人たちは、はいはいもできず、寝たきりの状態で、「一次元」のような世界だと言います。そこで、高谷さんたちは、プールに入れて支えたり、強度の高いゴムひもによって身体を保持したりして、身体を立たせる体験を味わってもらおうとします。さらに、車いすで移動をして景色の変化、そして、時間の変化も感じてもらおうとしています。

そして、歓びというものは、脳以外で身体の感覚としてもあるのではと考えています。大脳が形成されない重い障害のある幼児のエピソードが記されています。

もっとも笑顔が多く見られたのが、日光浴とお風呂に入っているときだったと思う。外に出て、日差しのなかに入ると、太陽の方に向くひまわりみたいに、頭を上へ上へともちあげて、明るい空をじっと見つめているようだった。こんなときは、顔がしだいにゆるんで、口を大きくかけ、『アー』と笑い出してくることが多かった。

人間が「生きる歓び」を感じているのは脳だけではないのかもしれません。おそらく、筋肉や神経など、生命の本能のような部分でも、歓びを感じているのでしょう。

人間の身体性について考えることは興味深いです。

 

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