【神戸マラソン】ポジティブ?ネガティブ?
神戸マラソンを走ってきました。
マラソンにはポジティブスプリットとネガティブスプリットがあります。
ポジティブ(積極的)は前半が後半よりも速いペース。
ネガティブ(消極的)は後半が前半よりも速いペースです。
自分のスタイルはミスターネガティブと言われるほど前半を抑えるタイプです。後半のタイムは落ちたときでもせいぜい2分くらい。前半よりも上げられるレースもしばしばあります。
一度、ネガティブスプリットの味を占めるとなかなか抜けられません。レース後半で前から落ちてくるランナーを次々と拾っていく。抜くたびに元気が湧いて、さらに前のランナーを追いかける。自分がスーパーランナーになったような錯覚に陥り、キャプテン翼のようにごぼう抜きする感覚に陶酔します。
一方で、ネガティブスプリットは裏を返せば安全走行です。ネガティブに精通すればするほど、身体の声を聴くのが上手になり、絶妙なほどきれいにラップを刻んでいくことができます。決して無理をしない。つまり、自分の限界を突破できません。
普段は安定志向ですが、今年の神戸マラソンは違いました。ベストを狙うためにポジティブにペースを刻むことにしました。理由は3週間前の大阪マラソンで予想以上にタイムが良かったこと。9月、10月であわせて500km近くも走れたことです。
しかし、結果は撃沈。30kmまでは想像以上の巡航速度で走れました。ただ、気温と湿気がじょじょにボディブローのように効いてきました。足の裏のマメが潰れたことをきっかけに、脚がぴたりと動かなくなりました。
そこから先の10km強の長いこと、長いこと。久々に味わう苦行です。どれだけ補給をとってもエンジンはかかりません。抜かれるたびに、エネルギーを吸い取られていく感じがします。同じく潰れて歩いているランナーを見ると「おお!同志よ」と心の中で声をかけます。ただ、実際には決して声をかけません。惨めな気持ちは痛いほどわかるからです。キロ4分を切って刻んでいたペースが最後はキロ5分になり、何十人と抜かれてようやくフィニッシュ。
ただ、最近、忘れてしまっていた感情が蘇りました。挑戦することの興奮、前半の風をきる感覚などです。友人で超ポジティブタイプのランナーがいます。その人いわく、ポジティブスプリットの魅力を「10回に1回、大当たりするレースがあるのが良い」とのこと。 確かにリスクをとったものだけが味わえる美酒がある。当たりくじを期待して、次回も冒険したいと思います。